【真相】あるレストランシェフの勘違い!

Updated: Nov 29, 2018


先日、サンアントニオの某レストランシェフから驚く言葉を聞きました。「うちは、軟水器を入れているから水はきれいだよ」と。「軟水器にフィルターはついていますか」と尋ねると、フィルターはついていないとのことでした。


サンアントニオは地盤が石灰(カルシウム)のため、水道から流れる水は硬水です。硬水についてはこちらでも説明しています。この地域柄、サンアントニオでは、軟水器を使っているレストランは多く存在しています。


しかし軟水器を導入している(硬水を軟水に変えている)だけでは、水は浄化されていません。レストランシェフが言われた「うちは軟水機を入れているから水はきれいだよ」という言葉。本当なのでしょうか?実は、それは、「勘違い」です。


今回は、軟水器を使うことで生じるこの「勘違い」についてお話ししようと思います。


「水がきれい」という言葉を「水の中に含まれる不純物が少ない」ことだとすれば、軟水器を通した後の水は、TDSが低くならないといけません。しかし、軟水器を通した後の水は、逆に水道の水より不純物が多くなるのが一般的です。


軟水器とは、簡単に説明すると「Na型強酸性陽イオン交換樹脂(一般にレジンといいます)」で、硬水に含まれるカルシウムとマグネシウムを樹脂にくっつけて取り除き、その代わりナトリウムを放出し、硬水を軟水に変えるだけの機能を備えたものです。よって、軟水器自体には、水を浄化する機能は備わっていません。


もう少し具体的に説明しますと、イオン交換樹脂が新品の時には、イオンは、一つの手に1個のナトリウムイオンをつかんでいます。これを1価といいます。そこに、カルシウムとマグネシウムという2個の手を持った(これを2価といいます。)水を通過させると、1価のナトリウムイオンより、2価のカルシウムとマグネシウムのほうがくっつきやすいため、イオン交換樹脂は、ナトリウムを手放し、カルシウムとマグネシウムを吸着するのです。



そしてイオン交換樹脂が、カルシウムとマグネシウムでいっぱいになると、それ以上イオン交換されなくなります。そのタイミングで、軟水器のバルブが、ナトリウムを含む高濃度の塩水NaCl(10%くらい)を軟水器のタンクの中に吸引し、イオン交換樹脂を塩水に浸すことで吸着したカルシウムとマグネシウムを放出させ、再度、ナトリウムを吸着させるのです。そのため、軟水器には、塩を補充する必要があるわけです。このプロセスを再生(Regeneration)と呼んでいます。


再生のプロセスでは、別のタンク(Brineタンクといいます)に貯められた塩水をイオン交換樹脂が入っているタンクに吸引します。もし、Brineタンクの中が汚かった場合、その水がそのまま、イオン交換を行うタンクの中に流れ込みます。再生プロセスの最後、水道水でタンクの中を洗い流しますが、不純物が含まれていても、ただ洗い流すだけなので、その汚れが軟水器のタンクに残りうる可能性があります。つまり、軟水器自体では、汚れをフィルターで除去しているわけではないのです。ご家庭に軟水器があれば、塩をBrineタンクに補充するときに、塩のタンクの中にコケや濁りなどの汚れがないかチェックしてみるとよいかもしれません。



以上のように軟水後の水は、浄化された水ではないのです。


また、もう一つ注意しておくことは、軟水後の水にナトリウムが含まれているという点。昨今、高血圧の筆頭要因に挙げられるのが食塩(NaCl)の過剰摂取ですが、その直接的な原因は、ナトリウム(Na)です。


『ナトリウムはカリウムとともに体内の水分バランスや細胞外液の浸透圧を維持しているほか、酸・塩基平衡、筋肉の収縮、神経の情報伝達、栄養素の吸収・輸送などにも関与しています。また、水分を保持しながら細胞外液量や循環血液の量を維持し、血圧を調節しています。ナトリウムを過剰にとると、この液量が増大するため血圧が上がったり、むくみを生じたりします』※1


軟水器によるイオン交換で放出されるナトリウムの量はごく微量ですので、すぐに健康に直接影響を与えるものではありません。しかし硬度が高い水を軟水器で軟水化すると、硬度が高い分だけのナトリウムが放出されているという事実は知っておいたほうが良いと思います。


軟水器利用によるナトリウム量の計算式について


『「もともとの硬度÷2」+「もともと入っていたNa」 = 「軟水器を通過した後のNa量」となります。その”もともとの硬度の1/2”という数字の理由は、以下の通りとなります。


軟水器は、Ca・Mgイオンを1個キャッチすると、Naイオンを2個放します。数だけ見ると、2倍の量が増えてしまうと思うのですが、実はそうではありません。Ca・Mgイオンと、Naイオンのサイズ(原子量)は違うからです。これはモル濃度という言葉で説明できるのですが、このモル濃度の関係上、ナトリウムの量は、カルシウムとマグネシウムのだいたい半分になります。※2


このように、軟水後の水に含まれるナトリウムは、決して高い濃度ではないので、飲用しても問題はないレベルですが、もしナトリウムの摂取について気にされているのであれば、ご家庭やレストラン等で口にするお水は注意したいところ。TDSメーターで、ナトリウムは検知できますので、気になる方は、レストランで出されているお水のTDSを測ってみるといいかもしれません。(ただし、TDSメーターでは、その物質がカルシウムやマグネシウムなのか?それともナトリウムなのか?は見分けられませんが・・・。)


このように、軟水器を通した後の水は、浄化された水ではないという事実をきちんと理解しておく必要があります。軟水器という機材を導入することで、なんとなく、水がきれいになっていると勘違いしがちですが、軟水器は、カルシウムとマグネシウムだけを取り除き、その代わり、ナトリウムを放出しているということと、そのプロセスの中に水の浄化プロセスはないとうことを理解しておきたいところです。


ちなみに、ではどうすれば、「水をきれいにできるか?」それは、Reverse Osmosis(RO)が最適なソリューションになります。以前のブログでROについて触れておりますので、詳しくは、こちらをご覧ください。


引用:

※1 ナトリウムの働きと1日の摂取量(健康長寿ネット)

https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/mineral-na.html

※2 軟水器を通すと、なぜナトリウムが増えるの?(ソフトウォータークラブ)

http://softwater.jp/what/000138.html

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